エアコンはお家のどこにでも取り付けができるわけではなく、設置環境が整っているお部屋で、且つエアコンが効率良く運転できるような場所が必要になるため、室内機・室外機共に設置場所には様々な条件があります。
今回は私たちエアコン設置業者がエアコンを取り付ける際に注意していることをご紹介いたします。
このページの目次
エアコンの室内機の設置場所について
エアコンは室内機と室外機にわかれています。まずは、お部屋の中に取り付けをする室内機の設置場所についてご紹介します。
放熱妨害を受けない場所
室内機の吹き出し口付近に箪笥やシャンデリア等の障害になるものがあると、部屋全体に風が行きわたらないため、エアコンを運転していても効きが悪いと感じてしまう可能性があります。
また、障害物により空気が室内機周辺に溜まってしまうことで、お部屋全体が設定温度に達したとエアコンが誤って認識してしまい、運転が止まったり、風量が弱くなってしまうこともありますので、室内機の吹き出し口付近は解放し、空気が循環するような場所に取り付ける必要があります。
配管・ドレン管の経路が取れる場所
隠蔽配管ではない限り、配管は配管穴から屋外に出して室外機に接続するケースが多いです。
万が一、エアコンを取り付けする壁が屋外に面していない場合は、配管を外に出すために配管穴まで延ばさなければなりません。さらに室内機から出た水を排水するドレンホースも同じように屋外まで引かなければいけないため、見栄えはもちろんのこと、排水場所まで勾配が取れる経路があるのか確認する必要があります。
温度分布を考慮する
図のように、設置環境によってエアコンの風が効率良く循環する場所と悪い場所があるため、お部屋のどの位置に室内機を設置すれば、効率が良い運転ができるか考慮して工事を行います。
エアコン本体を十分支えられ振動が出ない強度のある場所
室内機は壁に取り付けした据付板に引っかける形で取り付けされています。
室内機は平均して10kg程の重さがあるため、室内機の重みに耐えられない壁に取り付けしてしまうと、壁を破損させたり最悪の場合は室内機の落下に繋がる恐れがあるため、十分に強度がある場所かどうか、取り付けする際に作業員が確認を行います。
エアコン専用回路(コンセント)がある所
エアコンを取り付けする際、エアコン専用コンセントが室内機の取り付け付近にあるか確認が必要です。無い場合は分電盤より専用電気配線工事が可能な場所かも確認を行います。
エアコンの能力が部屋に合っていること
エアコンにはお部屋の広さや用途に合わせて様々なタイプの冷暖房能力があります。
広いお部屋に冷暖房能力の小さいエアコンを取り付けした場合、部屋が涼しくなりにくいだけではなく、エアコンが常にフル稼働しているため電気代が多くかかり、機械の寿命が短くなる等のリスクも発生してしまいます。
エアコンを取り付けする際、エアコンの容量がお部屋の広さや用途に合っていない場合はお客様へご確認させていただく場合もあります。
エアコン容量とお部屋の広さの目安は以下の表を参考にしてください
容量 | 2.2kW | 2.8kW | 4.0kW | 6.3kW |
---|---|---|---|---|
お部屋の広さ | 6畳用 | 10畳用 | 14畳用 | 20畳用 |
フィルタ-の取り外し及び取り扱い操作の可能な所
例えば、天井の高いお家で室内機を余りにも高い場所に取り付けてしまうと、こまめにフィルターを外して掃除をすることができません。室内機は容易にお手入れできる場所、また見栄えも考慮してエアコンの高さや位置を決める必要があります。
室外機の設置場所について
続いて室外機の設置場所の注意点を紹介します。
配管の長さと配管経路について
私たちエアコン設置業者が工事を行う上で特に注意しているのが配管の長さと高低差、それと配管経路です。エアコンは各メーカーにより1台につき使用できる配管の長さや高低差が決められています。
万が一、仕様条件を満たせず配管の長さや高低差が許容範囲を超えてしまうと、エアコンが十分に機能を果たせなくなり、エアコンの効きが悪くなってしまう恐れがあります。
配管が長くなるにつれてエアコンの能力は低下してしまうため、エアコンを取り付けする際は住宅環境を確認の上、最良な設置場所をお客様へご提案させていただきます。
据付スペースが確保できる所
エアコンを取り付けする際は据付スペースが確保できるか確認が必要です。
メーカーが作成している工事店専用の「ルームエアコン据付説明書」には、室内機と室外機の据付スペースが記載されています。据付スペースはエアコンが正常に能力を発揮するために必要であり、スペースが確保できない場合は能力の低下や機器に不具合が生じる可能性があります。
室外機は図のように据付スペースが必要になります。※据付スペースは機種により異なるため、詳しくはメーカーの商品カタログをご確認下さい。
特に室外機の正面と左側は設置作業やメンテナンスをスムーズに行うため、また効率の良い運転を行うためにも、なるべく解放しておくことをメーカーは推奨しています。室外機は背面から空気を吸い込み、熱交換器を通って正面から空気を排出する特徴があります。
夏場の冷房使用時は、熱交換器内の圧縮機で高温・高圧となった冷媒ガスをファンで冷却しているため、室外機の正面から暖かい空気が排出されますが、この時室外機の正面に塀や植木等の障害物があると放熱の妨げになり、熱い空気が室外機の周りに溜まってしまいます。
放熱した空気を再び室外機が吸い込むことを繰り返す状態をショートサイクル(ショートサーキット)と言います。室外機がショートサイクル(ショートサーキット)を起こすことによって冷媒ガスを冷却できず、能力の低下やオーバーヒートして正常に動かなくなったり、故障してしまう可能性があります。
ショートサイクル(ショートサーキット)を防ぐためにも、なるべく室外機の周りには物を置かないように注意して下さい。設置環境によっては室外機の正面に塀があり、スペースが確保できない場合はブロックや架台を利用して空間を確保する工夫が必要です。
エアコンが正常に能力を発揮できるよう、室内機も室外機も据付スペースを確保しましょう。
地盤がしっかりしている所
室外機は室内機よりも重量があり、地盤が不安定だとバランスを崩し倒れてしまうことも考えられます。そのため、室外機を設置する際は地盤が安定しているかどうかの確認を行います。また室外機を壁や屋根に取り付ける場合は室外機の重さに耐えられるか、金具を再利用する場合は錆びや破損がないか等の耐久性の確認を行っています。
サービスの容易な所
後々、引越しによってエアコンを移設したり故障による点検や修理を行うことを考えて、室外機は容易に作業できる場所に取り付けることが大切になります。
直射日光が当たりにくく、風通しの良い所
室外機に直射日光が当たると熱交換器に負荷がかかるため、夏場は日よけ専用カバーを取り付けしたり、葦簀(よしず)で日陰を作ったりすることをオススメします。日陰を作るために室外機の吹き出し口を植木や柵で囲ってしまうのは放熱の妨げになり冷房効果が下がってしまうため注意が必要です。
反対に、冬場は室外機の熱交換器は外気の熱エネルギーを吸熱しているため、外気温度が低くなるにつれて暖房能力が低下します。
室外機の設置場所として下記のような場所は避けて設置を行います。
- 風や騒音等で隣地に対して悪影響を及ぼしそうな場所
- 避難場所の妨げになる場所
室内機と室外機の設置場所に関してのまとめ
エアコンを取り付けする場所には様々な条件があります。
エアコンを取り付けする前提で作られたお部屋なら安心して工事ができますが、エアコンを取り付ける環境が整っていないお部屋に新しくエアコンを設置する際は、住宅環境によって工事が難しくなる可能性があります。
お客様だけでは判断の付きにくい場合は、専門業者に一度相談してみて下さい。
弊社でもエアコン工事を承っております。エアコン工事でお悩みのお客様はフリーダイヤル0120-06-5551へご連絡下さい。